エヴェネプール：勝利で復帰、野望は不変

レムコ・エヴェネプール、奇跡の復帰勝利！ワウト・ファンアールトを退け、アルデンヌへ挑む覚悟

皆さん、こんにちは！松崎 愛です。世界中のロードレースを追いかける私の目が、今、ベルギーに釘付けになっています。なぜって？それは、あの「リトル・レムコ」、レムコ・エヴェネプールが、驚くべき復帰勝利を飾ったからです！12月上旬の痛ましい事故から4ヶ月以上。パリ五輪ダブルメダリストが、復帰初戦となるブラバンツ・パイルで、ライバルであり友人でもあるワウト・ファンアールトをスプリントで下すなんて…もう、鳥肌モノでしたよ！その劇的な勝利の裏側と、彼がこれから見据える未来について、じっくりお話ししましょう。

度重なる試練、それでも立ち上がった「リトル・レムコ」

レムコ・エヴェネプールのキャリアは、輝かしい栄光と同じくらい、壮絶な試練に満ちています。2020年のイル・ロンバルディア、ソルマーノ峠の下りでの転落事故は、文字通り生死の境を彷徨うほどでした。そして昨年4月のツール・ド・バスクでの集団落車。さらに追い討ちをかけたのが、昨年12月上旬の事故です。ベルギーの郵便車のドアが突然開き、それに衝突するという不運。この事故で、ツール・ド・バスクでも骨折した右鎖骨を再び痛めてしまったのです。

この度重なるアクシデントは、25歳の若きチャンピオンの心を深く傷つけました。「皆が来シーズンの準備を進めているのに、僕は一人、家で松葉杖をついて立ち尽くしていた…」レース前、彼は当時をそう振り返っています。全てを投げ出してしまいたい、そんな思いが頭をよぎったと正直に打ち明けてくれました。でも、彼のそばには常に支えてくれる人々がいた。そして、スペイン、アルレニス・シエラ・ネバダでのトレーニングキャンプが、彼に再び走る喜びと、トップレベルで戦える手応えを取り戻させてくれたのです。「脚が回るようになった、それが一番大事だ」と語る彼の言葉には、静かな決意が宿っていました。

ワウト・ファンアールトとの「共闘」そして「決闘」

ブラバンツ・パイルのレースは、まるで映画のようでした。残り50km地点で、ワウト・ファンアールトを擁するVisma-Lease a bikeが仕掛けます。この動きに、Soudal-Quick Stepのレムコ・エヴェネプールが反応。あっという間に、レムコ・エヴェネプールとワウト・ファンアールトの二人が先頭に抜け出しました。チーム ソリューションテック・ヴィーニファンティーニやIsrael-Premier Techのジョセフ・ブラックモアも追いつきますが、二人のペースアップにはついていけません。

レムコ・エヴェネプール自身、「チームの計画ではなかった」と語っていますが、彼はその場で最適な判断を下しました。「チームメイトがいなくなった以上、先頭グループの人数を減らすのが唯一の解決策だった」と。そして、ジョセフ・ブラックモアを振り切るために、ベルギーの二人は一時的に協力関係を築きます。「ワウトとは代表チームでも一緒に走っているし、お互いを完璧に理解している。二人でスプリント勝負に持ち込む方がリスクが少ないし、今日一番強かったのは僕たち二人だったから、攻撃し合う理由なんてなかったよ」。なるほど、この言葉の裏には、深い信頼関係と、勝負は最後まで取っておくというプロの駆け引きが見て取れます。

そして迎えたフィニッシュライン前のスプリント。「パヴェセクターでのワウトは本当に凄かったから、正直勝てるとは思っていなかった」とレムコ・エヴェネプールは語ります。「でも、背中からの風を利用して、最初にスプリントを仕掛けるしかなかった」。彼のこの決断が功を奏しました。ワウト・ファンアールトの後ろで2位でも十分幸せだった、いや、むしろそれが「ほぼ普通のこと」だっただろうとまで言うレムコ・エヴェネプールが、その「普通」を超えて勝利を掴んだのです。

驚きと自信、そして未来への視線

この勝利は、レムコ・エヴェネプールに再び自信と、彼らしい強気な「グアイル（生意気さ）」を取り戻させました。不在中に目覚ましい活躍を見せていたマチュー・ファンデルプールやTadej Pogacarの名前を挙げ、「彼らのレベルに戻って、彼らを打ち負かすために戻ってきたんだ」と宣言。そして、今後への展望を語る彼の言葉は、日本のファンをも興奮させるものでした。

「アムステルゴールドレース以降、リエージュまで、皆の視線はTadejと僕に集まるだろうね」。そう言ってのける彼の表情には、チャンピオンだけが持つオーラが宿っていました。フレッシュ・ワロンヌ、そして最終戦のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ。アルデンヌ・クラシックの舞台で、いよいよレムコ・エヴェネプールとTadej Pogacarという現代ロードレース界の二大巨頭が本格的に激突するのです。

度重なる試練を乗り越え、奇跡的な復帰勝利を飾ったレムコ・エヴェネプール。彼の挑戦は、まだ始まったばかりです。「そうだったのか！」と膝を打つような背景を知ると、ますます彼の走りに注目したくなりますよね。次なる舞台、アルデンヌ・クラシックでの彼の走りに、皆さん、一緒に声援を送りましょう！